講義では、産業への応用を前提としたフェムト秒ファイバレーザが持つ、これまでのレーザとは違う利点について、フェムト秒パルスの発生方法について、ファイバ中のパルスの伝播を理解する上で必要な分散とファイバ中の非線形光学効果について解説いただきました。また、さまざまな産業での応用について、レーザ加工・計測とナノ材料開発の事例についてご紹介いただきました。
実験実習では、フェムト秒ファイバレーザの特性を理解する実習を行いました。フェムト秒ファイバー発振器の出力スペクトル、パルス幅を確認した後、正分散・負分散ファイバーに導入してその違いについて検討しました。次に、発振器出力をファイバ増幅器に導入し、更に正分散・負分散ファイバーを接続した場合のパルス幅とスペクトル幅を観測しながら、最もパルス幅の短くなる条件を探索しました。また、ファイバでパルス幅を伸長した後、ファイバ増幅器でパワー増幅、プリズム圧縮器でパルスを圧縮して、その結果のパルス幅とエネルギーを測定し、増幅方法の違いによるレーザパルスの特性について議論しました。
本実験実習では、先端光科学アライアンス「APSA」、工学系研究科附属光量子科学研究センターのご支援により、工学系研究科物理工学専攻
河野信吾 さん、精密工学専攻 江川 悟 さんにティーチングアシスタントとしてご協力いただきました。