講義では、これから科学研究を通じて新しい技術の創生を担う大学院生に対して、失敗を恐れず新しい現象、対象を学び理解しようとすることなどの重要性を講義いただきました。また、 研究によって自分だけが新しい事実を知るということが研究者に自信を与えてくれること、その事実の検証が研究者としての自分を成長させてくれることを、植田先生ご自身の経験された事例を交えながら 解説いただきました。
実験実習では、レーザーピンセット、窒素レーザー製作、ラマン散乱分光の3つの実験テーマについて、自ら手を動かして行いました。レーザーピンセットでは、緑色の半導体レーザー二倍波によって水中の微粒子を光でトラップする顕微鏡システムを組み上げて、そのトラップする原理を理解するとともに、トラップするビームを動かすことによって微粒子を空間上で操作出来ることを実際に体験しました。 窒素レーザー製作では、放電回路、始動ギャップ、伝送線路を考慮しながらカプトンシートやアルミフォイル、金属棒、高電圧回路を用いて窒素レーザーを発振させ、その原理と電極間の放電の様子などレーザー発振に必要な様々な要件を理解するとともに、レーザー色素を励起して波長変換を行いその応用法などについて体験しました。ラマン散乱分光では、緑色レーザーによって試料を励起して、レイリー散乱、ラマン散乱などが起きる様子を理解するとともに、ラマン散乱光の分光イメージを取得するための光学系を組み立てて、実際に溶液試料からラマンスペクトルが得られる様子を体験しました。