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2018年5月21日(月),ウシオ電機株式会社 小田史彦先生による先端光科学講義T「ランプによるUV光及びVUV光の発生方法と産業界での光の応用」が開講されました.5月22日(火)〜24日(木),森本幸裕先生,小田史彦先生による先端光科学実験実習T「UV光の分光法と光化学反応の体験実習」が開催されました.

講義では、産業用途で広く用いられているキセノンランプやエキシマランプの発光原理や光特性の違いを,熱放射や放電放射の物理的背景とともに解説いただきました.エキシマランプで発生するUV・VUV光と物質の相互作用について解説していただいた後,UV・VUV光をものづくりや医療へ応用する具体的な応用事例を紹介いただきました.また,可視光レーザーで構成されたプロジェクターで映像の色表現を拡張する,最先端の映写技術を紹介いただきました.

実験実習では、2種類の分光実験を実施しました.

 @エキシマランプから発生する波長172nmの光を「酸素」に照射し,「オゾン」に化学変化させる実験を実施しました.まず,光エネルギーで化学変化を進行させる光化学反応や,実験で使用する分光器とランプの原理に関する解説の後,ガラス容器中に空気を封入し,20秒間エキシマランプからの紫外光を照射してオゾンを生成しました.キセノンランプからの紫外ブロードバンド光をオゾンを封入したガラス容器中を透過させ,その波長スペクトルを波長分散型分光器で計測しました.酸素とオゾンの透過スペクトルの違いに基づいて計測データを解析し,ガラス内のオゾン濃度を推定しました.オゾンの化学的性質やオゾン洗浄を始めとした産業利用の事例や,地球の周りに形成されているオゾン層の役割やオゾンホールの影響について考察しながら解説いただきました.

 A半導体製造プロセスなどに使用される超々高圧水銀ランプの放射スペクトルの温度依存性を計測しました.まず,実験で使用する分光器の仕組みを理解したうえで,取扱に習熟するために身近に存在する蛍光灯の放射スペクトルを計測しました.放電で励起された水銀からの発光(紫外光)が蛍光灯表面のRGB蛍光体を発光させるという蛍光灯の仕組みを,放射スペクトルの分光計測を通して理解しました.次に,内部の水銀の蒸気圧力を高めた超々高圧水銀ランプの放射スペクトルの特性を計測しました.点灯してからのランプの放射スペクトルを10秒毎に計測し,ランプの温度上昇と共に刻々と変化する放射スペクトルを記録しました.計測データを解析して,i線(波長365 nm)のスペクトル幅が5 nmとなるような水銀封入量を数値計算により求めるとともに,実験と理論を組み合わせたランプ設計を通じて,ランプ光源設計に関する理解を深めました.

本実習では、「先端光量子アライアンス」ならびに「東京大学工学系研究科附属光量子科学研究センター」にご支援いただき、博士課程学生の増井周造さん(東京大学大学院工学系研究科)にティーチングアシスタントとしてお手伝いいただきました。

2018 May 21 〜 May 24 ウシオ電機株式会社 講義・実験実習風景