講義では,まず,光ファイバーを用いた通信について,その歴史や他の通信技術と比較した際の特徴を解説いただきました.
次に,光ファイバー通信において,最も重要である信号強度の損失と光増幅器による信号強度の回復,損失を低減するための方法について,
ご紹介いただきました。
また,コア径の違いによって伝播する光がシングルモードあるいはマルチモードになること,その伝搬特性と光ファイバーの分散特性について
解説いただきました.最後に,光ファイバー増幅器による信号回復のためのゲイン特性や,
高速通信のための新しい増幅方法について,ご紹介いただきました.
実験実習では,まず,光ファイバーを取扱う上での基礎であるファイバー端面の劈開,ファイバー同士の融着接続,融着による損失計測を行いました.
ファイバーの曲げに対するカットオフ波長と曲げ半径に対するシフトや信号損失について,シングルモードとマルチモードファイバーを
用いて測定し,結果とファイバーの特性について考察しました.次に,ファイバー増幅器への光入力波長を変化させながら,光スペクトルアナライザで増幅器の利得特性と
その波長依存性を計測しました.前方,後方励起増幅や,入力スペクトル,入力光パワーなどの違いによって利得特性が変化する原因について,TAの指導のもと測定を行い,結果を考察しました.
最後に,ファイバーを用いたパルス圧縮実験を行いました.高非線形ファイバーとシングルモードファイバーを用いて広帯域化と分散補償を行い,パルス時間幅とスペクトルの様子を測定し,
パルス幅を約1/10程度まで圧縮しました.
本実習では,「東京大学工学系研究科附属光量子科学研究センター」,文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」先端レーザーイノベーション拠点(東京大学)にご支援いただき,博士課程学生の小松原航さん(東京大学大学院理学系研究科)、的場みづほさん(東京大学大学院理学系研究科)、福原竜馬さん(東京大学大学院工学系研究科)にティーチングアシスタントとしてお手伝いいただきました。