講義では,映写機や半導体・液晶露光などに応用されている光源として,熱放射や放電による放射,VUV領域のエキシマ発光などによるランプの発光原理について解説いただきました.VUV領域のランプ光の応用例として,ガラス基板上の有機物を除去する光洗浄や,生体親和性材料であるチタンの光洗浄について解説いただきました.また,可視レーザーを光源として用いることにより,プロジェクターの光源の長寿命化,高輝度の実現,色域の拡大が可能であることを解説いただきました.
実験実習では,@UVを用いたオゾン発生とそのUV透過特性の測定とA超高圧水銀ランプの放射スペクトルの設計の2テーマの実験実習を実施しました.実習@では,石英ガラスセル中に封入した空気にエキシマランプから発した波長172
nmのUV光を照射することにより酸素をオゾンに光化学反応によって変化させました.このオゾンの量をランプから発した紫外領域の白色光の光吸収スペクトルの強度変化として定量計測し,ガラスセル中のオゾン濃度を推定しました.この結果をもとに,オゾン層による紫外線の減衰率,およびオゾンホールの影響について考察しました.実習Aでは,まず蛍光灯の発光スペクトル,続いて高圧水銀ランプの発光スペクトルをそれぞれ計測し,そのスペクトル構造の特徴からそれぞれの光源の発光原理について考察しました.次に,体育館などで用いられる超々高圧水銀ランプを使った実験を行い,点灯してから,発光スペクトルを10秒毎に計測しました.一定時間経った後にスペクトル形状がこれ以上変化しなくなる様子を確認しました.この測定結果から,半導体産業などで用いられるi線(波長365
nm)を発生するために必要な,超々高圧水銀ランプの水銀の封入密度を算出し,ランプの設計方法について理解しました.
本実験実習では、文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」先端レーザーイノベーション拠点「ALICe」と工学系研究科附属光量子科学研究センターのご支援を受け,工学系研究科物理工学専攻の福原竜馬さんにティーチングアシスタントとしてご協力いただきました。