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2019年6月24日(月),電気通信大学レーザー新世代研究センター 植田憲一教授による先端光科学講義T「高出力ファイバーレーザー その歴史と展開から学ぶ」,6月25日(火)~27日(木),電気通信大学レーザー新世代研究センター 米田仁紀教授による先端光科学実験実習T「種々のレーザー基礎実験」が開催されました.  

講義では,1960年に発振したルビーレーザー以来,気体,液体,固体を媒質とした様々なレーザー光源の開発の歴史について解説いただいた後,冷却効率や利得媒質長という意味で非常に優れるファイバーレーザーについて,高出力化や調整の容易さといった利点の物理的・歴史的背景について,ファイバーレーザー黎明期のエピソードを交えて解説いただきました.現在,高出力化が進むファイバーレーザーについて,欧州が中心になって進めている100 kWクラスのファイバーレーザー開発や,その実現の鍵となるコヒレント結合による位相同期した合波方法について,植田先生ご自身の研究結果を引用して解説いただきました.

実験実習では,@光ピンセット,A窒素レーザー,B半導体レーザー(LD)励起固体レーザー,CRaman分光の4つの実習を行いました.実習@光ピンセットでは,LDレーザーの二倍波(532 nm)出力を,2枚のビームスプリッターで分岐し,それぞれの光を精密にアライメントして対物レンズで集光することで,試料上に4つの集光スポットを形成しました.試料の水溶液の微粒子にそれぞれの光を集光することで,最大4つの微粒子を補足しました.集光スポットを移動させ,補足した微粒子の位置を動かして,光ピンセットによる微小物体の位置制御方法について体験しました.. 実習A窒素レーザーでは,2本の棒電極を微小なギャップを設けた状態で並べ,コンデンサ充電回路と組み合わせて,高電圧を印加した際に分布定数回路を形成しました.棒電極周辺に窒素を充填し,高電圧を印加することで窒素プラズマを形成し,うまくプラズマを形成するよう棒電極の位置,間隔を最適化することによって,波長337 nmのUVレーザーを発振させました. 実習BLD励起固体レーザーでは,Nd:YVO結晶と球面ミラーで共振器を構築し,共振器を精密にアライメントしたあと,波長808nmのLDをレーザー結晶入射してレーザー発振させました.発生した1064 nmのレーザーは直後に配置したKTP結晶により波長532 nmの緑色に波長変換しました.共振器光学系を最適化調整することによるレーザーパワーを高くする方法,光学系のミスアライメントによりレーザーの高次モードが発生する様子について体験しました. 実習CRaman散乱では,波長532 nmのレーザー光を液体試料に集光し,散乱光に含まれる入射光とは異なる波長をもつラマン光の検出を行いました.スリット,回折格子,CCDカメラによって構成される分光器を構築し,対物レンズを使って試料セルにレーザー光を集光し,散乱光を分光器に導入しました.散乱光の光路にノッチフィルターを挿入して入射光の波長をカットし,CCDカメラ上に表れるラマン散乱光のスペクトルを計測し,試料の振動数を同定しました.

本実験実習では,文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」先端レーザーイノベーション拠点「ALICe」と工学系研究科附属光量子科学研究センターのご支援を受け,工学系研究科機械工学専攻の吉崎れいなさんにティーチングアシスタントとしてご協力いただきました.

2019 June 24 〜 June 27 電気通信大学
講義・実験実習風景